湾岸プロマネ日記

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【MBA/MOT】国内大学院社会人入試のレジュメ(志望理由書)作成

大学院入試は倍率が1を超えた瞬間に、そこには熾烈な競争が生まれます。

あなたが、圧倒的なスコアで合格圏内に鎮座することができるのであれば、この記事を読むまでもありません。

ですが、定量的なスコアで当落線上に並んでいる受験生は、定性的な尺度で測られる可能性があることは十分理解できるはずです。

受験を決めた瞬間から、入試審査官の目や耳に入る自分の情報をすべてコントロールするぐらいの、マーケッター意識をもった方がよいと思います。

 

受験といえば筆記試験、口述試験。その対策については多くの時間が割かれ、対策方法についてもWebでチラホラ散見されます。

試験科目と明記されていない提出書類について、あなたはどのように考え、そしてどのように対応しようとしていますか?

 

この記事では出願書類の中のレジュメ(志望理由書)について取り上げます。

・レジュメが何のために使われるのか

・レジュメがどのように使われるのか

について、受け手側、つまり入試審査官の立場に立って、それらのロジックを想定し、社会人の大学院入試に重要な提出書類であることを説明します。

 

この記事を読んだ後、すぐに作成に取り掛かれる、むしろ、作成したくてしたくてしょうがない気持ちになるでしょう。

 

  

 

 

レジュメの本質

 レジュメは志望理由書と訳されます。

その名のとおり、願書を提出する大学院を志望した理由が記されている書類です。

書く側(受験する側)の理由は、全て志高いものではないでしょう。例えば、以下のような、なるべく人に言いたくない理由が、1つや2つは当てはまるのではないでしょうか。

  • 有名だから
  • 職場から通いやすい
  • 学費が安い

私はこれら全て当てはまりました(笑)

 

少々乱暴に書きましたが、この記事を読んでくださる方は、自分の将来を真剣に考え、そのキャリアプランにレバレッジをかけれる大学院・コースを選んでおられるとと思います。

大学院を調査し、ターゲットを決めた時点で、ご自身のキャリアパスとその大学院との間にある導線が、何となく見えていることでしょう。

そこまで「真剣に考えているあなたの志望理由」と、「なるべく人に言いたくない志望理由」の間には、志に雲泥の差があるものの、熾烈な競争の中で志望校に合格するという文脈の中では大差ありません。

なぜ大差ないのか、それは、レジュメ、志望理由書を受け取る側の論理を無視しているからです。

 

もはや気が付いてくれていると思いますが、合否判定をする入試審査官や教授の方々が、この受験生であれば自分の大学院にきてほしい、ゼミにきてほしいといったように、採用する気になる理由が述べられている必要があります。

ちょっと小難しく言うと、、、

 

レジュメのバリュー = F(X, Y)

X = (受験生の)志望理由

Y = (大学院の)採用理由

 

志望理由と採用理由の関係によってレジュメのバリューが決まるという構図。極端な話です(笑)。

Yの採用理由はあなたが変えることができない不可制御な部分ですので、いかにそれを見極めて可制御なX、あなたの志望理由を最適化するかが、レジュメのバリューを最大化するポイントとなります。

 

大学院もさすがに自分たちのメリットだけを考えているわけではなく、公共の教育機関としてサービスを提供することを求められています。つまり、志望理由を最大限尊重し、それに応えられる環境を提供できるか、大学院側も試されているのです。

 

 

 

レジュメバリューの上げ方

 レジュメバリューの2変数の特性は以下です。

  • 採用理由は不可制御
  • 志望理由は可制御

 

不可制御の採用理由を見極め、可制御の志望理由を最適化することが、レジュメバリューを最大化することにつながると説明しました。

双方の対策について考察します。

 

 

コンピテンスの洗い出し

 最適化する前に、自分の今までの人生やキャリアを振り返り、コンピテンスの棚卸をすることは避けられません。

これは自分のことなのでできるはずですが、まずは箇条書きをしてみて、その後、それが希少かどうか自己判断してみてください。ポイントは過剰に盛りすぎず、へりくだりすぎず、マーケット感覚をできるだけもって評価することです。例えば自分はプロジェクトマネージャの経験があって業界No.1ですって言っても測定不能なので、所属する会社の中で1番の利益を出した、とか、説得力がある評価範囲と評価があれば言うことなしです。就職面談をしていると、学生さんの自己アピールで『○百人を集めてイベントやりました』とかたまにありますが、社会人受験生は学生さんと差異化をするために、キャリアの中でコンピテンスを取り上げた方が無難だと思います。

 

客観的に誰もが納得する、自分が貢献できることは、自分の経験×成果が説明できる項目です。これらを箇条書きし、マーケット感覚をもって優先順位をつけてください。

C1:海外赴任経験(留学生と完璧にコミュニケーションできるレベル、TOIEC950点)

C2:商品開発プロジェクトマネージメント(社内で利益No.1)

C3:組込み系HW・SWのノウハウ(両方の経験をしている人材は希少)

 

この自分事については、受験を決めたときに色々考えていると思うので、割と簡単に整理できるのではないでしょうか。まだ考えたことが無い方は、丁度良い機会ですので、脳みそに汗をかいて考え尽くしてみてください。大学院受験だけでなく、昇進や転職活動にも共通して役立つと思います。

 

 

不可制御な採用理由を見極め

 以下の記事から引用します。

そもそも大学院の教授は、自分やゼミの研究者と論文を書いて、世の中に知を蓄積したいと思っているはずです、たぶん。もしくはジャーナルに掲載されることでメディアに取り上げられ、TVコメンテータや評論家になりたいという、承認欲求をもっていらっしゃる方もいるかもしれません。学生への期待としては、学生がより価値のある研究成果を出すことで、その学校の集客力を上げることに貢献してほしいと思っているはずです。 

 【国内MBA/MOT大学院】社会人入試で必須のビジネス本 - 湾岸プロマネ日記

 

簡単に構造化すると、お客さんである大学院に、商品である自分を採ってもらうにはどうすればよいのかを考えることです。

とはいえ、お客さんが大学院だとターゲットが広すぎるので、ここでは思い切って、

大学院 → 学部 → 学科 → 教授

と絞るのがよいと思います。

 

ところで、マーケティング手法の1つとしてエスノグラフィーという手法をご存知でしょうか。詳しくはググってみてほしいのですが、ザックリいうと、『商品なりサービスなりのターゲットセグメントの人を外からコッソリ観察する』ことで、需要を際立たせて商品・サービス開発に役立てる感じです。つまり、志望大学院の志望ゼミの教授について、できるだけ徹底的に調べることが採用理由を見極めるための近道です。

 

私が行った具体的な調査方法と得られる(もしくは得られるであろう)情報をまとめます。

教授のホームページを調べる

教授の学歴、職務履歴、研究テーマと執筆論文、著書、受賞歴

 

教授の著書を全部読む

教授の研究テーマの詳細、影響範囲、共同著者(人脈)

 

オープンハウスに行く

教授のパーソナリティ、ゼミ生の生の声、受験のアドバイス、キャリアへのアドバイス、研究に向けた推薦図書や論文

 

教授と個別面談する

教授のパーソナリティ(詳細)、ゼミ生に求めることの本音、自分への期待と期待度

 

 

ここまでくると、若干ストーカー感でてきますが、変なことはしてないので気にせず突き進みます。

これらの調査を行うと、教授がどんなゼミ生に来てほしいのか、ゼミ生にどんな貢献を教授や大学院にしてほしいか、箇条書きできるようになるはずです。まるで自分がその教授になったという気持ちでネタ出ししてみてください(笑)。それらが、採用理由ですが、複数ある採用理由の中でも、どれを重視しているのか、優先順位まで、できるだけ想定してください。

Y1:教授の研究分野と受験生のコンピテンスが近い(自分の研究に役立ってくれそう)

Y2:有名企業(ゼミがよく見え、新たな優秀なゼミ生を集められそう)

Y3:同じ出身大学(世話好き、大好きな出身校に恩返ししたそう)

 

ここまでできれば完璧です。

 

 

可制御の志望理由を最適化

 費用も時間もかかる大学院受験を決意したあなたにとって、将来のキャリアパスやなりたい自分は明らかになっていることだろうと思います。

蓄積してきたキャリアやコンピテンスを基に将来のキャリアパスを構築する方、将来のキャリアパスがあって蓄積できてないキャリアやコンピテンスを新たに補完したい方、様々いらっしゃると思います。

社会人大学院、特にMBAやMOT系では将来のキャリアパス=経営という文脈で、今までのキャリア・経験が志望大学院・ゼミに貢献できて、さらにそのゼミでほしい部分を補完できるという形が王道のロジックだと私は考えています。

 

私は○○な経営者になりたい

今までの経験とコンピテンスはCx(C1、C2、C3)で、新たなコンピテンスを身に着けることが必須です。

私はそれについて研究しつつ、教授のゼミのYx(Y1、Y2、Y3)に貢献できます。

 

CxとYxの組み合わせた文章が、志望理由のXxとなります。

注意すべきは、教授の採用理由であるYを最大化させるXを産み出すことが目的なので、必ずしも自分の1番のコンピテンスC1を直接のロジックに盛り込めばよいわけではありません。

上の例で例えると、Y1の教授の研究分野が商品開発マネージメントだとすると、そこに結び付ける自分のコンピテンスは、C1の海外赴任経験ではなく、C2の商品開発プロジェクトマネージメントであることは、ご理解いただけるかと思います。C1のコンピテンスのアピールは、Y1に繋がる直接のロジックではなく、海外の事例についても研究できる等の、副次的な付加価値としてアピールする程度にした方が、軸がぶれないと思います。

 

 

 

レジュメ作成の効果

レジュメの作成方法について、必要な情報とその理由について、順を追って説明させていただきました。

  • 志望大学院の志望ゼミの教授の立場にたって、どのような採用理由をもっているのかをプロファイリング
  • そこに刺さるようにあなたのコンピテンスを掛け合わせ、将来のなりたい自分を考慮してレジュメを作成

 

採用理由のプロファイルのを綿密に行い、あなたの心の中をえぐるように表層化させたキャリアとの掛け算が、他の受験生との差異化要因となり、オンリーワンのレジュメを産み出す唯一の方法だと私は考えます。

 

ここまでしっかり考えると、大学院受験合格に向けてかなり前進していると言えます。

なぜなら、職務履歴と志望理由が首尾一貫し、志望ゼミの教授とも顔見知りの関係になっています。

口頭試験は志望教官が面接官チームの仕切り役になることが多い(と思われる)ので、まずは緊張しません。そして、レジュメに沿って質問がやり取りされますが、自分の中で首尾一貫したストーリーが頭の中にこびりついているため、魂のこもった受け答えが自然にできるようになります。

 

上記のように受験の色々な部分に影響を及ぼすレジュメ作成は、小論文やTOEICの小手先の対策よりも、あなたのこれからのキャリアにとって桁違いの効果を生むことになるでしょう。

そんなオンリーワンのあなたのレジュメ作成の助けになれば幸いです。

 

 

僭越ながら、レジュメのレビューをご希望でしたら、お気軽にご連絡いただければと思います。

参照いただき、ありがとうございました。

 

本ブログのMBA/MOTカテゴリーでご紹介している内容は、以下の記事をご参照ください。

www.nittakeshi.com