湾岸プロマネ日記

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【コラム】本を読むのが大嫌いな私が、本が読めるようになった理由

大学院時代に、内部進学を目指す高校生の家庭教師をしていた。彼は本を読むことが大好きで、一方の私は大嫌いということを休憩時間の笑い話のネタにしていた程。不憫に思ったのか、彼は色々な本を薦めてくれたのだが、そんな健気な彼の誘いを断り続けていた。そんな私が、なぜ本を貪るように読むようになったのか。

 

国語が嫌いで、本を読むことをめんどくさいと思っている息子に捧ぐコラムです。

 

本を読むのが嫌いだった理由

週刊マガジンは読むのに本は読まない。何故なのか?単に怠け者なのか?刹那的な快楽主義者なのか?本を読まなくても特に困っていなかった(と思っていた)当時の私は、特段深掘りすることもなく、センター試験の国語の配分が低い国立大学に幸運にも滑り込み、最も本を読まないで大学生活を送ったランキングでは上位の方に入るのではなかろうか。理系なので論文はしこたま読んだが。

最近ツイッターを見ていて、本を読むのが嫌いだった最大の理由は、「内容が腹落ちするまでに時間がかかるからだ」、という文書化をようやくできるようになった。もう少し解像度を上げると、自分にとって「内容が腹落ちする」とは、筆者が伝えようとするメッセージを正しくデコードして脳内の知識棚に整理整頓し、人生を一歩でもよい方向に進めるためのシンプルで実行可能なアクションを定義できること、である。因みに読者がこのように思うのであれば、筆者はこの逆のことをしているのだろうなと想像する。 

テニスが好き、ゲームが好き、のように、DNAレベルで(ちょっと言い過ぎか)、自分の脳内ドーパミンがジャブジャブ出まくるものを趣味というのではないかと。それにも関わらず、小さいころから本を読まないとバカになる、本を読まないと勉強できない、本を読まないと国語ができないばかりか数学の問題も解けない、などと脅されて生きてきて(国語は全くできないので、親の脅しもあながち外れてはいなかった)、もはや本を読むことでDNAレベルで脳内に不快物質が出てくるほどであった。人が本を読むためには、相当な動機づけが必要であることを声を大にして言いたい、自慢することではないが。

 

本を読まなければならなくなった理由

私は2000年に新卒入社し、2008年から社会人大学院で技術経営を学ぶことになったのだが、そこには強烈な動機づけがあった。いわゆる技術系MBAと言われ、ケーススタディのためのグループディスカッションがある。ディスカッションに参加するためにはケースの読み込み、関連書籍の読み込みが必須で、それが1週間に3~4冊課される場合もある。

入社8年目と言えば、仕事も一通り覚え、若手リーダー格として活躍しているころ。2020年近辺の働き方改善なぞどこ吹く風、当時は時計の針が12時を回る前に帰宅することは稀で、満員の通勤電車で如何に上手くスペースを確保して課題図書を読むかが、家と職場を往復するときの課題であった。読むのが遅いとか、集中しなきゃいけないとか、そんな泣き言を言っている暇はなく、とにかく速く内容を理解して無理矢理アクションを抽出する必要があった。

「勉強するには集中力を身に着けなければならない」というのは順番が逆で、「勉強を始めたから集中力が増す」というのは誰もが耳にしたことがあるライフハックであろう。毎朝毎晩、通勤電車に揺られて本を読み続けているうちに、ゾーンに入る瞬間を感じるようになった。

 

本を読むのが気持ちよくなった理由

私の「ゾーン」を具体的に言うと、心の中で文字を読んで文章を行ったり来たりして理解するシーケンスから、目で文字を追っていると脳の中に高速に整理されていくような感覚。先に書いたように、多大な時間をかけて蓄積された知識を整理してエンコードされてある文字列に対し、自分の眼のセンサーで画像認識→デコードをして脳内のRAMに展開されていく期間が増えてきたのだ。脳内RAMに展開されるスピードが速くなると、もっと知りたいという欲求のドーパミンがでてきて、そのスピードを維持しながら集中した状態でどんどん本を読み進められるようになった。

私が本を読むスピードは依然として本が大好きな人のそれと比べると、ウサギと亀ぐらいの差はあるのだが、もともと亀以下のスピードでゴールにもたどり着けなかった私が、亀並みのスピードになって何とか本全体の内容を読み切る、ゴールまで着実にたどり着けるようになったのだ。

そして同時に、脳内RAMから脳内ROMに構造体として整理整頓して保存することで、グループディスカッションで発言するというアクションに自然につなげられるようになったのである。

 

本を読み始めるのはいつだって遅くない

短時間での大量の課題図書とアウトプット、それにより私は本を貪るように読むようになった。本を読むのが嫌いだった最大の理由である「内容が腹落ちするまでに時間がかかるからだ」を克服。筆者が伝えようとするメッセージを正しくデコードして脳内の知識棚に整理整頓し、人生を一歩でもよい方向に進めるためのシンプルで実行可能なアクションが定義できるようになった。

30過ぎた私でさえ、こうした新しい気づきができ、大げさに言うと人生の幅が広がった。今、国語の点数が伸びずに、毎日塾の宿題で苦労している息子に、少しでも本を読む楽しさ、本を読めるようになる方法を伝えられたらと思う。

 

追伸

大学院時代に家庭教師をしていた高校生から、薦められた本をいくつか読んでみた。その当時、夢中になった本が1冊だけあった。

星新一のショートショート(笑)

短い時間で読めることは、本を嫌いにならないために必要な要素なので、本が嫌いな子には短い文章から始めるのはとても合理的だと思う。