湾岸プロマネ日記

モバイル一筋18年|転職経験ゼロ|純血サラリーマンが人生をエンジョイするための生き様を伝えます

通信料と端末代の完全分離の影響を受けるプレイヤー

総務省の「モバイル市場の競争環境に関する研究会」が打ち出した緊急提言に関して、既にメディアで大規模に取り上げられています。国内通信事業者も、これにネガティブな反応を示しています。今後、端末販売が落ち込んだときに影響を受けるプレイヤーについて予想しました。

 

総務省からのご指導で、通信費と端末価格の分離が義務付けられると、今まで通信事業者が通信料収入から端末価格への補助金がなくなり、本来の端末価格で消費者が購入することになります。つまり、消費者にとっては、端末価格が高くなります。

端末価格が高くなると、当然、買い替えサイクルが長くなり、端末の販売台数が落ち込み、端末メーカーや部品メーカーは大打撃を受けることになるでしょう。そして、影響はハードウェアだけには留まりません。端末の売れ行きが芳しくなくなることで、自社の事業が影響を受けるプレイヤーが他にもでてきます。

 

通信事業者

第一に、通信事業者です。5Gのような大規模なインフラ投資を怠れば、世界を巻き込んだ技術開発の競争に置いていかれ、国ごと沈んでいきます。業界の中で働く人以外は、あまり目にしたことがないかもしれませんが、日本には高い世界シェアを誇る部品メーカーや材料メーカーが多数存在します。最先端技術が存在する市場にポジショニングしていないと、メーカーの競争力は少なからず影響を受けます。インフラ企業と一蓮托生なのです。

新しいインフラを活かすには、新しい端末が必要になり、新しい端末には新しい技術のつまった部品が必要となります。5Gのような象徴的な技術の進歩以外にも継続的な進化が絶えず行われています。

 

Google

第二に、ハードウェアが沢山世の中にあることで利益を上げている企業です。一般的にはGoogle。世の中にばら撒かれた端末からデータを吸い出し、広告収入やデータ利用で収益を上げているからです。新しいOSには新しいハードウェアが必要です。ROM/RAM/CPUがショボいとソフトが動かなくなります。

 

Androidアプリメーカー

第三に、Androidのアプリケーションで収益を上げる会社。絶えずインフラがアップデートされ、それに歩調を合わせるようにアプリの進化も追従し、さらなる利益を上げているからです。Androidが進化するのに追従してアプリも対応することが義務付けられますが、ハードが付いて来なければくたびれ儲けです。

 

これら、影響を受けるプレイヤーが、何らかの形で消費者に対して端末価格をサポートする時代が訪れると予想されます。元来、通信事業者のみがサポートしてきた歴史を考えると、設備投資が比較的少なく、利益率が高いプレイヤーがサポートするという構図になるよう、業界内の圧力が働くカモしれません。

もしくは、中華メーカーが莫大なキャッシュで消耗戦を挑み日・米・韓のメーカーが撤退する可能性も大いにありうるでしょう。この総務省の指導は、消費者のための施策ですが、数少ない国内メーカーには死活問題であることは間違いありません。中華メーカーのみが生き残った将来が訪れるか、国内だけの施策で決定づけられることはありませんが、日本国内で主な収益を上げている国内メーカーにとっては正念場と言えるでしょう。

 

本ブログのモバイルカテゴリーでご紹介している内容は、以下の記事をご参照ください。

www.nittakeshi.com