湾岸プロマネ日記

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5Gがもたらす影響調査(スポットコンサルティングを斬る!)

5Gがもたらす影響調査について、クライアントである大手銀行から依頼された戦略コンサルタント。デスクトップリサーチでは調べきれない点について、知見のある人から教えて欲しいってことで、スポットコンサルタントの提案が参りました。

 

今回は、依頼内容について、真面目に答えつつも、色々、ツッコミ入れていこうかと思います。因みに、報酬の金額提示をしたところ、次の日に「実施を見送った」旨のメールが来ましたw。案件リストを見るとまだ消されていないので、報酬金額が高すぎたのか、私のスペックが足らなかったのかは定かではありませんが、このページを見れば彼らの知りたい答えが大体書いてあると思いますので、同じ案件に提案される方は参考にしてみてください(笑)。

 

目次

 

 

5Gの普及に伴い恩恵を受ける業種・企業、インフラ、アプリケーションについて

大手銀行からの調査依頼とのことで、今後の投資対象の5G関連企業を絞る目的に見えます。

 

5Gの普及によって恩恵を受ける業種・企業/ダメージを受ける業種・企業

単純に考えると、恩恵を受けるのは5Gを使って新しい市場をつくる業界。以前に『5G関連銘柄の探し方。伸びる企業は?』という記事を書かせていただきましたが、その記事では技術領域をベースに、伸びる企業、関連業界を考察していますのでご参照願います。紹介した業界は以下です。

  • アナログ部品業界
  • 通信事業業界
  • IoT業界
  • 設備業界

一方で、ダメージを受けるのは5Gによって置き換わる業種や企業でしょう。ネットワークスピードが速くなったり、低遅延・多接続になると、そのパフォーマンスを達成するために、既存の設備でキャパシティが足りない技術や設備が置き換わることになります。例えば、ADSL等の設備が光ケーブルに置き換わったように。

設備の置き換えは、主に既存の企業が製品をアップデートすることで達成される場合が多いので、これらの企業は置き換え需要が生まれるので、恩恵を受ける側に回ります。性能が向上したサービスの本質は、業界自体が効率化して生産性が高まること。効率化されるということは、新しい技術や設備によって、人手を省くことができたり、専用ハードウェアが汎用ハードウェアにおるソフトウェア化が進むことです。

具体的には、電気やガスメーターにセンサーと通信設備が備われば、月に一回、検針している方々はリストラ対象となり、数年に一度のメンテナンスだけになります。5G技術により、検針する人がセンサー+通信設備に置き換わるというのが本質です。

 

5Gが普及することで、新たなに必要となるハードや機器について

新たに必要となるハードや機器については、上記の項目で既に言及しました。そもそも質問の順序が逆ですね。こんな質問構成で、MECEな答えを引き出して、クライアントの大手銀行さんに有益な調査結果がを提供できるのでしょうか(笑)

5Gの普及によって実現すると見込まれるアプリケーション(自動運転や遠隔医療等)について、実際に実現する上での課題

アプリケーションによって課題は全く異なるのですが、ここでは自動運転と遠隔医療について言及されていますので、それらに絞って考察することにします。どちらもミッションクリティカルなアプリケーションで、ネットワークの遅延が致命的なダメージ、特に人命にかかわる事故を起こしかねません。技術的側面と倫理的な側面について説明します。

技術的な側面では、膨大で非同期に起こるネットワークのトラフィックに対して、そこを通って通信の遅延を数msを保証することは、いくら5G時代とはいえ不可能です。これらを解決するために、通信事業者のコアネットワーク内部でアプリケーションを完結することで、インターネットによる遅延から隔離することが可能となります。このコアネットワークを如何に上手く準備して、エッジコンピューティングの汎用HWのパフォーマンスを上げ、エッジ間で効率よく同期をとっていくかが課題となります。

倫理的な側面では、コンピュータに制御を委ねたアプリケーションが、人命に影響を及ぼす場合、仮に事故が起こった場合に誰が責任者となるのか、法整備や議論が全く追いついていません。一例として、2018年12月の日経新聞の記事、『自動運転車の配信ソフトを審査、国交省が安全対策案』を見て、驚愕した人が多いのではないでしょうか。私がフォローするツイッタラーの方々もかなり反応していたのですが、 

国交省の制度案では、自動運転車の性能への影響が大きいソフトについては、企業側に配信を適切に実施する能力や体制があるかや、ソフト自体の安全性について国が事前に審査することが必要だとした。

 「企業側に配信を適切に実施する能力や体制があるか」については、ISOの仕組みとほぼ同じで、まぁ、悪くはないとは思いますが、「ソフト自体の安全性について国が事前に審査する」って、正気の沙汰ではありません。

仮に何か月もかけてソースコードレビューすればバグは見つかるかもしれませんが、事故が起きないという保証がお国が抱えるエンジニアと、自動車会社の専門職エンジニアのどちらが頼りになるかというと、議論の余地もないでしょう。より重要なことは、国が審査して何らかの「承認」をすることは、そのソフトウェアならば事故が起こらないということに対して国が責任を持つということになります。

不幸にも自動運転車同志で事故が起き、一方の乗客が死亡してしまった場合を考えてみてください。事故の原因は、自動運転ソフトウェアにバグがあって、それを承認した国に責任があることになります。もはや乗客は運転していないので責任を問うことができず、自動運転車を提供した自動車メーカーは国からソフトウェアを承認してもらっているので、極端な話、損害賠償は国に行くことになりかねません。その財源はもちろん税金です。もはや、よくわからない世界ですね。話は逸れましたが、法整備が課題です。

 

 

 

5Gが普及した後のデバイス&データについて

正直、何を聞きたいのか、ちょっと意味不明なので、ツッコミがメインとなります(笑) 

5Gが普及した後、4Gと5Gが混成したネットワークになるかと思いますが、4Gか5Gどちらのネットワークを使うのかは、デバイス側でコントロールすることになると考えており、その場合、デバイスの端末価格が上がるのかどうか

 

1つ1つ行きましょう♪

5Gが普及した後、4Gと5Gが混成したネットワークになる

5G初期はいきなりカバレッジを100%にできないので混在ネットワークになります。先に述べたように、5Gでは汎用サーバーによるネットワークのSW化ができるようになり、それによるコストダウン効果が膨大なので、都市部等の過密地帯はいち早く5Gネットワークに切り替えたいと考えています。初期の4G・5G混在のOption 3から、5GオンリーのOptionに如何に早くトランジションできるかが、企業体力に影響する時代が今後5~10年後に起こりえます。

4Gか5Gどちらのネットワークを使うのかは、デバイス側でコントロールすることになる

今のスマートフォンでも、手動で優先ネットワークを決めることができます。通常は全ネットワークを使える状態にしておいて、優先的に早いネットワークにつながる設定にしていると思います(例えば海外ローミングしていて、データ通信を使いたくない場合は優先順位を意図的に落とすような設定にする方もいらっしゃいます)。その場合、基本的にネットワーク側から端末側に、端末側のキャパシティを確認する通信プロトコルが行われ、基地局側からどのような通信をするのか指定されます。

つまり、手動でもできるけど、そんなことやってる人は少なく、手動でやってない人は基地局側からコントロールされます。正直、ググればでてくるので、本当にデスクトップリサーチしたのでしょうか?っていう質問ですねw。

その場合、デバイスの端末価格が上がるのか

当たり前のことですが、5Gの通信回路が付いている時点で、4Gオンリーの端末より価格が上がります。部品、半導体、制御ソフトウェア、製造コスト等々、説明するのが面倒くさいので省略。

 

5Gの普及によって、通信データ量が爆発的に増えることが想定されますが、単にデータベースが増えるだけなのか、それともデータの圧縮技術が進化するのか、もしくは他のソリューションがあるのかどうか

通信データ量が爆発的に増えることを想定して、5G規格が制定されました。逆です(笑)。

  • データベースが増えること
  • データの圧縮技術が進化すること
  • 他のソリューション

という質問が並んでいますが、質問からその意図を想像すると、通信データ量が爆発的に増えることを想定すると、どのようなソリューションが考えられるか?という上記3択なら、まだギリギリ意味が分かります。因みに3番目の他のソリューションの1つが5Gです(笑)。最初からわかってるじゃないですかw。

 

 

 

 

まとめ

今回は5Gのスポットコンサルティングを無料で行いました(笑)。提案したのにRejectされたので、色々ツッコミを入れつつ、無料公開してみました。正直、この程度の質問をしている時点で、クライアントの大手銀行さんがかわいそうで仕方ありませんが、この記事に辿りついて頂いて、コンサルティング契約を見直すキッカケになれば幸いです。

 

 

本ブログのモバイルカテゴリーでご紹介している内容は、以下の記事をご参照ください。

www.nittakeshi.com