湾岸プロマネ日記

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MOTの使い方~技術部で生かすには~

MOTで学んだ技術経営を、所属企業で生かす方法シリーズ、「技術部で生かすには」。この記事では、技術を扱う企業において、技術を扱う部署でのMOTの使い方について紹介します。MOTっぽく、あえてイノベーションに拘りたいので、マネージャーが自社のリソースをどう組み合わせるのか、について考えてみました。

 

目次

 

 

技術という切り口を変えてみる

技術という切り口で隣のチームと付き合うのが、普通の仕事の仕方かと思います。それは大前提として、企業の技術組織は、関連する技術を取り扱うチームが集まり、有機的に繋がっているからです。マネージャーになりたての頃は、その横の関係にどっぷり浸かり、仕事を効率化させ、メンバーや隣の組織のレベルアップを図ることを、第一優先に仕事をするでしょう。そうすることで、上司にも評価されます。

しかし、隣の組織との連携だけに留まってしまうと、その組織のトップにはなれるかもしれませんが、その上や隣のトップ、つまり、知らない分野をマネージすることが難しくなります。本質的な課題は、技術という切り口のみで、周りと連携する方法のみに固執すると、常に連続的にしか進歩しないことです。

 

 

根こそぎコミュニケーションする切り口を見つける

非連続的に変化するために何をするのか。それは、所属企業のバリューチェーン、つまり仕事のプロセスの上流から下流で、の全行程の仕組みを知ることです。

自分のチームが、会社のプロセス上、一番上流、もしくは一番下流に向けて、どのように繋がっているかを考え、そこに登場するチームと、根こそぎコミュニケーションをとっていくことは、誰の目から見ても有意義な活動であり、場合によっては、自分の枠から飛び出して、上流から下流まで良く目が行き届いていると評価されることになります。

一旦、上流・下流に行って分岐して戻ってくることで、自分のチームの登場するステージで、隣のチームが何をしているのか、自分のチームとどのように繋がっているのかが分かるようになります。イノベーションとは、何も新しい技術や発明をすることが全てでは無く、既存の技術や案件の組み合わせによって、新しい経済的な価値を生み出すことなので、会社のプロセスを踏襲していても、こうした活動ができる、こうした活動を、無理矢理、正当化させることも可能です。

 

 

共通の切り口を見つける

同じ組織での共通の切り口は“技術”です。そもそも技術分野から組織がつくられているので当たり前ですね。ところが、全く異なった技術領域のチームと会話する場合、お互いがだいぶ歩み寄らなければなりません。アプリケーションエンジニアと機構設計エンジニアがいきなり技術を切り口に会話することは至難の業ですよね。これをノーアイディアで、歩み寄って会話することに何の意味もありませんし、時間の無駄です。お互いに自分の仕事の紹介で終わってしまうでしょう。

アプリケーションエンジニアと機構設計エンジニアが、お互いに仕事の上流に遡って行ったら、恐らく商品企画のステージで交差するのではないかと思います。そうすると、“商品企画”という切り口で、お互いガチな会話をすることが可能となります。

 

 

MOTが仕掛ける切り口

モノやサービス等、直接顧客に提供する付加価値については、共通の切り口を見つけることは割と簡単だということは、ここまで読んでくださった方には感じて頂けたかと思います。しかし、単発のモノやサービスについて付加価値を上げられたとしても、これを会社として、組織として生み出す仕組みを整えることが、マネージャーの仕事であり、こうした仕組みが整っている企業に、魅力を感じるエンジニアも多いのではないかと思います。

こうした仕組みを整えるために、マネージメントはどんな切り口で仕掛けることができるのでしょうか。それは、切り口に対して時間軸と進化を盛り込むことです。一言で言うと、ロードマップです。先の例で言うと、アプリケーションチーム、機構設計チーム、また、社内の他のチームにも、それぞれ独自の技術ロードマップが存在するはずです。それらをバリューチェーン上で交差するポイントで持ちより、丁寧に共通ロードマップを作ることです。

 

 

MOT人材によるロードマップメンテナンス

色んな組織がいっぺんに集まると、全く異なったレイヤの話になってしまうので、バリューチェーンの交差点を見つける必要があるので、共通ロードマップを作ると一言で言っても、かなり大変な作業になります。ですが、これを丁寧に行うこと、踏み込んで言うと、進化の遅いチームではなく、進化の速いチームに合わせて作ることで、会社のスピードを上げることができます。

ある部のエースが、他の部のエースと、各部のロードマップを対峙させている会議を想像してみてください。進歩が遅い部のエースの気持ちは、想像に難しくないぐらい、ズタズタになることでしょう。ですが、それを自分の部に持ち返り、周りを牽引する推進力にもなります。これが回り始めると、バリューチェーンの交差点で競争が始まり、他の交差点へも影響を及ぼし、会社全体がパワーアップしていくことになります。

MOTを学んだエース人材に対して、“競争”と“協創”というマインドセットをキーワードに、十分に刺激できる仕組みを作り出すことも可能になります。

 

 

まとめ

MOTで学んだ技術経営を、所属企業で生かす方法シリーズ、「技術部で生かすには」について、イノベーションを起こす可能性を高めるため、バリューチェーンの交差点の整理、MOTを学んだエース人材によるロードマップのメンテナンス、マネージメントが仕掛ける“競争”と“協創”の仕組みについて考えてみました。

 

 

本ブログのMBA/MOTカテゴリーでご紹介している内容は、以下の記事をご参照ください

www.nittakeshi.com