湾岸プロマネ日記

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次次世代通信技術“6G”~2030年に向けて既に始動~

次世代通信技術”5G”の話題が紙面を賑わし、産業界の需要期待から「THE 5G」なる投資信託も存在する2019年の5G元年。日本では2020年の東京オリンピックに向けて商用サービス開始を予定している。そんな中、2030年に向けて、次の世代の通信技術”6G”の検討が既に開始されていることはご存知だろうか?

 

2019年3月現在、5Gの話題で疲弊している方々へ、2030年を目指した6Gの話題をぶち込み始めたいと思うw。

 

 

6Gはトランプ大統領も注目している

まだまだアイディア検討段階なので、決まったことは一切ない。2018年から続く米中貿易戦争で、アメリカのトランプ大統領が呟いたTwitterの内容を、頭の片隅に記憶している方も少なからずいるのではなかろうか。貿易戦争とソーシャルセキュリティを絡め、通信技術の巨人である中国Huawei社を締め付けるトランプ大統領。

gigazine.net

 

次世代通信技術を握ることは、向こう10年に渡って、設備投資や雇用増加により、大きな経済的な利益を享受することができると言われている。4G世代で世界の覇権を握ったアメリカは、5G世代で中国からその地位を脅かされている。その震源地のHuawei社を叩いて5G時代は凌ぎ、6G世代ではMake America Greate Againを目指すとの宣言である。トランプ大統領としては、2019年3月の段階では、下期の大統領選挙を取れば良く、10年後などどうなっていようがあまり興味はないであろうが、このMAGAキャンペーンと米中貿易戦争を結びつける、次のキーワードとして6Gを取り上げているのは、個人的には頷ける。

 

 

6Gも利権争いになることは必須

6Gについて、具体的な内容や方針を紹介するのは、未だ時期尚早である。しかし、5Gの商用化目前で起きた利権争いを目の当たりにすると、世界を巻き込んで標準化が必要な社会インフラの導入は、如何に膨大な時間とお金が必要であり、その周囲に群がるステークホルダー達を牛耳る政治力がモノを言う世界であることは明らかだ。

 

5G世代では、正直、中国の経済発展と共に、HuaweiとZTEが通信インフラの世界市場に進出し、Huaweiは老舗のEricsson、Nokiaと肩を並べるぐらいに成長した。技術力とコスト競争力については、既にこれらの北欧2社を追い越しているという見方が正しいかもしれない。

一方で、アメリカはというと、通信インフラの技術は持っておらず、Verizon、AT&Tなどの通信事業者がEricsson、Nokiaを使って市場を牽引している。ここをHuaweiに参入させないよう政治的圧力をかけており、西側同盟国へ同様な対応を課して世界市場での支配力をけん制している。

端末側として、4G世代はアメリカQualcomm社のSnapdragonチップの独占状態から、5G世代では中国Huawei社のKirin(Hi Siricon)、韓国Samsung社のExynos、台湾MediaTekのHelioなど、再び群雄割拠の時代が訪れそうだ。

これらの通信関連企業は、自国から政治的なバックアップを受けて、6G時代に向けた先行投資と利権争いに参入しないと、10年後は生き残れないであろう。

 

 

6Gは台湾かも

6Gに対して、筆者が個人的に興味をもっているのは台湾である。台湾の通信インフラは、アメリカや中国、日本に比べ、やや普及が遅れている。5Gについても、台湾の政府機関(日本でいう総務省)の方針がブレており、オークションの時期が遅れ、2021年以降の導入予定となっている。

3Gで負けたアメリカが4GでCome backし、4Gで負けた中国が5GでCome backしてきたように、4Gでも5Gでも負けた台湾に6GでCome backしてほしいという期待もある。期待だけではなく、FoxconnなどのODM、TSMCなどの半導体Fab、さらにはMediaTekという端末プラットフォームも伸びているからだ。

 

台湾の経済紙『工商時報』が2019年3月1日付で報じたところによると、MediaTekは、6Gの研究開発を、フィンランドの拠点で進めているようだ。MediaTechがフィンランドの首都ヘルシンキにR&Dセンターを設けたのは2014年。Nokiaでモデムの研究開発に携わっていたエンジニアの他、提携したフィンランド大学のOulunで育成した人材が中心だという。ここで5Gの開発はもとより、6Gの研究にも力を入れているという。

工商時報によると、もともとルネサスエレクトロニクスが2010年に買収したNokiaのモデムチームの一部を、2013年になってアメリカBroadcomに売却、その後、4Gが始動し始めた頃になってこれを買収したMediaTechが、Nokiaのモデム関連資産を手に入れ、これを背景にフィンランドで4GのR&Dを始めると共に、業界に先がけて5Gの開発にも着手したと紹介。現在は6G開発も手がけるとしている。

 

100~300ドル価格帯の4GスマートフォンにはMediaTekのチップセットが進出してきている。今後、高付加価値帯へシフトしていくことは確実なので、5Gの廉価版を皮切りに、10年後の6G世代には主役の地位に踊り出ているカモしれない。期待を込めて。

 

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www.nittakeshi.com