湾岸プロマネ日記

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次世代通信技術”5G”はなぜ必要なのか?

 

次世代通信技術5G。スマホ業界のみならず、その他の産業への波及効果が大きいと言われています。現在の通信技術である4Gで、Youtubeなどの動画もストレス無く、わりと満足できる品質で楽しむことができます。そもそも、なぜ5Gが必要なのでしょうか?

 

 

5Gで世の中をよくするため

ソフトバンクの新30年ビジョン発表会で発表されましたが、ソフトバンク創業者の孫正義会長が掲げる、ソフトバンク設立時からのビジョンとして、「情報革命で人々を幸せにしたい」というステートメントがあります。

ここでは、通信技術の進化について具体的な説明はしませんが、おおよそ10年毎に無線通信の仕様が大幅にアップデートしてきている歴史があります。

 

この記事を書いている2018年現在、筆者は18年間、モバイル通信業界に身を置いていて、2000年頃の2Gから3G、2010年頃の3Gから4Gの変革について、その内外の状況を見続けてきました。今まさに、3回目の4Gから5Gに世代交代する瞬間を目の当たりにしていますが、過去2回の世代交代に比べて言える大きな変化点として、広く世の中をよくしていこうというコンセンサスがあるように感じています。

 

3G以降、グローバルローミング、つまり自分の携帯電話を持ち運んで、全世界で使えるように、3GPPなどの標準化団体が、業界各社を集めて仕様の標準化を行っています。携帯電話やスマートフォン業界のみならず、他の産業、例えば自動運転や遠隔医療、IoT事業など、人間の実需に寄り添ったさまざまなユースケースが、5Gの仕様策定段階で取り込まれているからです。

 

では、世の中をよくするとは、具体的にどういうことなのか?

通信事業者、関連業界、ユーザーの3つの視点で読み解くと、より具体的な内容が明らかになります。

 

 

 

5Gを通信事業者から見た場合

5Gの中心人物は、何といってもそのモバイルサービスを提供する通信事業者と言ってもよいでしょう。日本国内で言うと、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク。そして、楽天が第4の通信事業者として名乗りを上げ、国から免許を受けました。当然ながら、全社、5Gに対しての投資準備をし、積極的にIR活動しています。

 

営利企業として、また、上場企業として、株主やステークホルダーに対して、その業績を右肩上がりにすることが求められます。技術開発や設備投資を行って、お客さんに付加価値の高いサービスを提供し、収益を増やし、社会の中で持続可能な企業として成長していくことが義務付けられているといえるでしょう。

 

通信事業者の人口カバー率が90%台後半を迎え、4G-LTEの技術を駆使して、通信キャパシティを増強し、お客さんに快適な通信環境を提供することに、この数年間を費やしてきました。業界と共に5Gの技術を導入し、さらなる収益を伸ばすことは、通信事業者が避けられない宿命と言ってもよいでしょう。

 

3、4社で競争しているわけですから、よりよい通信サービスをお客さんに提供し続ける会社が、最終的にお客さんを獲得し、そこから通信料を収益として受け取ることができます。導入時期を争ったり、料金を低くしたり、スピードやパケット量等のサービス品質向上に取り組むのは、そのような背景があることは容易に想像できますよね。

 

5Gの技術的な説明は、他の記事に譲るとして、5Gを導入し、現在のネットワーク構成を完全に5Gに移行させると(5G Core)、パケット当たりの運用単価が、今よりも確実に減ると言われています。簡単に理由を説明すると、4G世代までは、ネットワークを制御するために、高額な専用機器をネットワークの中に構築する必要があったのですが、5Gに移行することによって、汎用的なサーバーでネットワーク構築することが可能となるからです。

 

このように、お客さんへよりよいサービスを提供し、さらに技術革新によりネットワーク運用の単価を下げることで、収益を増やし、会社を成長させ、株主やステークホルダーに応えるという力学が働くので、通信事業者にとって、5Gの導入は避けては通れない課題となっているわけです。

 

 

 

5Gを関連業界から見た場合

5G業界は、今までの延長である携帯電話、スマートフォンに関わる業界と、それ以外に今まで無線通信とは無縁だった業界の2つに大別されると考えることができます。

 

スマートフォン業界であれば、先の章で述べた通り、通信事業者に働く力学と同様なものが業界のプレイヤーに課せられます。例えばスマートフォンメーカー、基地局メーカー、それらに関連する部品メーカー、ソフトウェアメーカーなどです。同様な例は既に20年前に起きています。1995年に発売されたWindows95です。マイクロソフトとインテル、それに関連する半導体メーカーや部品メーカー、ソフトウェアメーカーを巻き込んだ構造と一緒で、お客さんがよりよいソフトウェアやサービスを享受できるように、どんどんCPUが進化し、OSも進化し、メモリや周辺機器が、丸ごと進化していった過程と同じです。昨今ではこの現象を、プラットフォームリーダーシップと呼ばれていますね。

 

では、4Gまで無線通信と無縁だった業界についてはどうでしょうか。簡単に言うと、上記と同様、プラットフォームリーダーシップに巻き込まれます。例えば、自動車業界。もはや、Googleで検索すれば、沢山の記事がでてきて、簡単に調査することができます。

自動車会社は5Gにより、自動運転、とりわけ、外部とリアルタイムに低遅延通信することで、危険予測を行い、人間の補助なしに、自動的に衝突を避けられるようになりえます。このような機能が登場し、現在と同様の価格で販売された場合、その機能が搭載されていない自動車は買いませんよね(もちろんブランドの好みや、デザインや燃費、操作性など、他の購買要素も絡みますので、あくまで、同じもので自動運転があり・なしという二択の中での話です)。つまり、どの自動車会社も、5Gの流れにのみ込まれざるを得ません。

 

5Gの関連業界は、通信技術の進化に追従せざるを得なくなります。そうしないと、その会社は業界の競合他社に負け、ゆくゆくは倒産手続きをすることになります。

 

 

 

5Gをユーザーから見た場合

5Gを通信事業者と関連業界の視点で見てきましたが、使う人がいなければ、いくら技術的に優れていたり、コストが安くても、収益をあげることができません。技術の進化にともなって、それを使用するお客さんにとって、どんな便利なことがあのか、どんなワクワクするものが生まれるのか、これらを伝えることは非常に重要なことです。なぜなら、その納得感が得られないと、それを開発する会社へ投資が行われないからです。

 

現在は4Kや8Kの動画配信が可能になる、や、映画が数秒でダウンロードできるようになるなど、スマートフォン業界の正常進化について語られています。一方で先の例に出ていた自動運転の世界観についてもよくネットで見かけます。技術展示会に行くと、さまざまな発表をしている企業や業界もあり、中心的な存在である通信事業者は、国内、海外を問わず、自前で実証実験や展示スペースを常設するなどし、世の中への情報発信を積極的に行っています。

 

 

まとめ

5Gはなぜ必要なのか?

個人的な意見として、2018年11月現在で世の中の反応を見ていると、ユーザーにとってこれが欲しい、あれが欲しい、というような議論にはなっていないように感じます。どちらかというと、次世代通信技術の導入ありきで、お客さんへの提案が後付で行われている印象です。

 

まとめると、

  • スマートフォン業界では、動画やストリーミングの高画質化やモバイルゲーミング等、コンテンツのデータ量が増える領域に正常進化していくことは間違いない
  • 今まで無線通信と無縁であった業界が、新たなアプリケーションを産み出すプラットフォームとなり、新しい進化になりうる

ということが言えると思います。

 

5Gは、革新的な次世代技術であることは間違いなく、時代が進化していく中で新たな使い方が生まれてくるのは世の常なので、引き続き、この業界についてウォッチを続けていこうと思います。

 

本ブログのモバイルカテゴリーでご紹介している内容は、以下の記事をご参照ください。

www.nittakeshi.com