湾岸プロマネ日記

モバイル一筋18年|転職経験ゼロ|純血サラリーマンが人生をエンジョイするための生き様を伝えます

次世代通信技術“5G”はいつ始まるのか?

次世代通信技術5G。スマートフォンや自動運転、IoT等、メディアで取り上げられる機会が増えてきましたが、実際いつ始まるのでしょうか?

 

スマートフォンユーザーであれば、5G対応端末の発表を待つしかありません。しかし、もしあなたが、5Gの到来によって、影響を受ける業界にお勤めであれば、うかうかしていると大きなチャンスを見逃すことになります。

 

次世代通信技術が、自社の技術戦略にいつ影響を与えるのか、時期感をしっかり把握して備えることができるように、現状の各代表国の状況をおさらいし、どんな事柄を注視すべきかをまとめてみました。

 

  

 

 

日本国内の5Gはいつ始まるの?

2018年前半までの、日本国内のコンセンサスは、2020年夏に開催予定の東京オリンピックに向けて、2020年春に商用サービスをスタートすることです。

 

NTTドコモは、そのために、1年前の2019年9月に開幕する、ラグビーワールドカップにプレサービスを始めるようです。KDDIは2019年に一部のエリアから5Gを開始するとしており、2021年には5Gコアネットワークを導入し、ネットワークスライシングとエンジコンピューティングを活用したサービスを展開予定。ソフトバンクは2019年夏以降、5Gプレサービスを開始し、福岡ヤフオクドームの臨場感ある体験を届けるとのこと。

 

各社とも、展開エリアについては明確な計画を示しておりません。なぜなら基地局設置には投資と時間が伴うから。特にmmWaveについては、数十GHzという高い周波数帯域を使用するため、電波の減衰率が高く(簡単に言うと電波が届く範囲が狭い)、数十メートル毎に基地局を張り巡らさなければなりません。第四世代(4G、LTE)は低周波数帯を用いていたため、既存の基地局にアンテナモジュールを取り付ければよかったので、設備面で言うと大幅な投資が必要になります。

 

このような各通信事業者の計画の前提条件になっているのは、総務省は5G向けの周波数を2019年3月末までに割り当てるという計画です。周波数は国民の財産とも言われていますが、通信事業者各社がそのリソースを囲い込んで自社のサービスを展開するので、他社と無線通信が干渉を起こさないように、各社に割り当てる必要があります。

 

さらに、通信事業者がサービス展開するモバイルサービスと、他の無線通信が干渉を起こさないようにしなければなりません。身近な例では、みなさんが使用しているテレビとラジオ。これら、公共性があるサービスに対して周波数割り当てが決まっており、その通信方式や電波の強度等の仕様が厳格に定められています。また、衛星通信や防衛用の周波数は、国防の根幹を成すため、これらの割り当ては総務省が取り仕切っています。

 

 

海外の5Gはいつ始まるの?

ザックリ、代表的な国の計画を箇条書きします。

 

アメリカ

2018年10月、mmWaveでFWAをスタート。2019年初頭にVerizonがMotorolaから調達する5G moto modが最初のBtoC製品になる可能性。貿易戦争とソーシャルセキュリティを背景に、中国企業を締め出す動きが顕著になっている。

 

中国

商用化は2020年を予定している。トライアルが2019年に始まるが、トライアルとは言えかなりの規模で行われる。引き続き国営企業のChina Mobileが主導するが、China UnicomとChina Telecomの合併話もあり、業界再編が注目される。

 

韓国

2019年3月に商用スタート。BtoCの立ち上げの一番手グループと予想されている。地理的な優位性を生かし、4G-LTE時代には普及率が早期に高まったので、5Gでどうなるかが注目される。

 

オーストラリア

2019年初旬に商用スタート。半官半民通信事業者Telstraの1強で5Gを牽引する。アメリカ同様、中国企業を締め出している。

 

欧州

イギリス、フランス、ドイツ等の主要国は2019年中盤~後半にsub 6で商用開始予定。周波数割り当ては国毎に行われるが、陸続きの欧州で隣国間での調整が難しくなると予想できます。

 

次世代通信技術の導入による経済効果について、莫大な先行者利益が発生することが、過去の世代交代からスタディされています。2Gで業界標準をとった欧州、3Gで先行した日本、そして4Gで莫大な経済効果をもぎ取ったアメリカ。このような歴史的背景から、GDPトップ2のアメリカと中国は、莫大な投資を行い、5Gのわれ先にと競い合っています。

(米国系のCTIA、欧州系のGSMAという、通信事業者の業界団体が、がそれぞれ5Gのレポート発行しておりますので、詳細はそちらに譲ります)

 

 

5Gの始まる時期は何を見ればわかるの?

日本国内と海外主要国について、5Gサービスの開始時期についての現状を述べて参りました。次世代通信技術なので、技術的な難易度や政治的な地政学もあり、開始時期や普及計画については、正直不確定要素が大きいように思えます。

 

各通信事業者からの発表を見ていれば間違いないのですが、次世代通信技術が、自社の技術戦略にいつ影響を与えるのか、時期感をしっかり把握して備えることができるようにするためには、色々先読みして情報戦でライバルに差をつけておく必要があるでしょう。今の時点で確定的なことは言えませんが、業界内でどのような観点を見ていけば予測できるかについて、本章で考察してみたいと思います。

 

周波数割り当て状況

先に述べた通り、周波数を割り当てられないと、商用サービスができません。よって、各国の周波数を割り当てる機関の状況をWatchすることが、まず最初の一歩です。日本であれば総務省、アメリカはFCC、中国は工業和信息化部、オーストラリアはACMAなどです。なお、韓国はsub 6もmmWaveも、既に周波数割り当てが終わっています。

 

実証実験

周波数が割り当てられたからと言って、すぐにサービスを開始できるわけではなく、サービスを利用するお客さんが満足する品質にチューニングする必要があります(よって、国によっては試験用にライセンスを発行する政府機関もある)。公共の場で電波を放射する前は、シールドルーム等の閉じられた実験室で検討し、試験用ライセンスを受けてから、オープンな場所で試験をするのが一般的かと思います。このオープンな場所で建物等でどのぐらい電波がロスするかや、基地局間のハンドオーバー、スピードも加味したモビリティの試験を行います。これらの進捗状況は各通信事業者のホームページで確認することができます。

 

ネットワークベンダの選定

通信事業者はネットワーク運営の会社ですが、通信機器自体はネットワークベンダから購入しています。自社の技術者でそれを運用する会社もあれば、ネットワークベンダのコンサルティングに丸投げの通信事業者もあります。代表的なネットワークベンダは、Ericsson、Nokia、Huawei、Samsungがありますが、コストの安いHuaweiを使うか、実績のあるEricsson、Nokiaを使うか、などなど、各通信事業者が選定を確定していれば、恐らく社内決済も通り、ある程度、普及に向けた計画が立てられていると考えられるのではないでしょうか。

 

 

 

まとめ

次世代通信技術5Gが日本国内、また代表的な海外の国で、いつから始まるのか、また、何に注目すれば、始まる時期を予測できるのかについて説明しました。

 

5Gの到来によって影響を受ける業界にとっては、大きなチャンスにもなりますが、同時にリスクにもなります。次世代通信技術が、自社の技術戦略にいつどんな影響を与えるのか、時期感をしっかり把握して備えることができるようになればと思います。

 

 

本ブログのモバイルカテゴリーでご紹介している内容は、以下の記事をご参照ください。

www.nittakeshi.com