2020年の東京オリンピックに始まる次世代通信規格5G。
携帯電話だけではなく、ネットワークに繋がることで、破壊的な付加価値を産み出すであろうデバイスやサービス。そうした産業のすそ野を広げるのが、真の5Gの破壊力です。
5Gレースで進んでいるのは日本だけではありません。むしろ海外の方がサービス開始が早かったり、技術開発が進んでいる会社が山ほどあります。
普段なれない英語で書かれたサイトを読むのが億劫な方、海外の5Gの情報をザックリ知りたい方に、日本語でポイントをまとめていきたいと思います。
- Samsungが5GインフラでUS市場を手に入れる
- 5Gは夜明け間近。ビッグブランドが最初の5Gデバイスへと加速する
- スマホの次世代5G通信を実現する統合型「5Gミリ波アンテナ」をQualcommが発表
- 吉と出るか凶と出るか、Verizonは5G領域に賭ける
- SingTelとEricssonはシンガポールで最初の5G試験ネットワークを立ち上げた
Samsungが5GインフラでUS市場を手に入れる
Samsungが今年後半にHoustonで始まるVerizonの商用5G FWAに向けてRANとルーターのネットワークサプライヤとして採用された。
Verizonは今年初め、サクラメント、カリフォルニアの5G機器にSamsungを採用すると発表していたが、SamsungのDirectorはさらに野心的にUSオペレータとの関係を深くしていくと語っていた。
Samsungはこの機会をとらえるために、2012年からmmWaveの研究開発、およびIP技術の深掘りを行ってきた。3.5GHzを補完する28GHzと、2.5GHz、37GHz-40GHzの技術を急速に立ち上げてきた。
Samsungは既に4つのtier 1オペレータと協業しており、Verizon、AT&Tの5G FWA向けに7つの都市で機器を提供している。T-MobileとSprintに対しても技術デモや5G ready装置を提供している。
USでの5G立ち上げは、まずFWAと言われているが、どうmmWaveでMobilityを確保するかデモしてきた。それによって様々なuse caseが立ち上がると予期している。その点でUSオペレータに受け入れらているという印象を持っているようだ。
5Gは夜明け間近。ビッグブランドが最初の5Gデバイスへと加速する
UKの一部は未だ4Gの信頼性を待っているが、5Gがそろそろ近づいてきた。Sonyの世界初5Gスマホのリリースと共に。
Sonyのプレスリリースではスマホのイノベーションがどれだけ大事か訴えられた。それは5Gが当社にとって最優先課題だからだ。
Sonyは現状5Gでリードしているようだが、OnePlus 7、Huawei P30 Pro, Samsung Galaxy S10等、競合も19年に出してくる見込みだ。
スマホの次世代5G通信を実現する統合型「5Gミリ波アンテナ」をQualcommが発表
最大10Gbpsの超高速通信を持つ5Gは、必要なデバイスを、スマホ本体の中に収めることが大きな課題とされている。Qualcommはスマホに収まるほど小型化された、5G向けデバイスを発表した。
世界初で5G NRミリ波に必要な部品を統合したアンテナモジュールQTM052と、sub 6に対応するQPM56xxの2種類。X50 5Gモデムに対応し、スマホでの超高速通信を実現する。
QTM052はビームフォーミング、ビームステアリング、およびビームトラッキング機能を備えた4つのミリ波アンテナと、電波を送受信するためのトランシーバー、パワーアンプ、通信品質を高めるためのフィルターなどが一体化された統合型チップ。
5G通信を実現する上において、特にビームフォーミングは不可欠な技術。複数のアンテナを組み合わせ、電波の放射方向を制御することで、高い通信品質を実現する技術。カバーする周波数帯は26.5~29.5GHz、27.5~28.35GHz、37~40GHz。
一方でsub 6モジュールは3.3~4.2GHz、3.3~3.8GHz、4.4~5.0GHzの周波数帯をサポートし、指向性がシビアなミリ波よりも、信頼性の高い通信をカバーできる。
Qualcommは既に2018年7月から顧客に対して、モジュールのサンプル出荷を開始済み。
吉と出るか凶と出るか、Verizonは5G領域に賭ける
VerizonのExecutiveは2Q18の決算発表で、5Gが全社戦略の要であることを明確にし、IoT、5G network、Fiber network、Video解析&広告等、何であろうが、Broadband internetビジネスを成長ドライバーとした。
FWAはVerizonが提供する多数の5Gサービスの内の1つ。モバイル 5Gサービスを19年に立ち上げ、その後拡張し、エンタープライズの顧客にも提供していく。エンタープライズの顧客とは、新しいタイプのサービスを常に議論しており、特定のnetwork sliceを使って、プライベートな低遅延等の5Gネットワークの構築に機会があるとしている。
5Gの進化は前世代よりも大きく、最も大きなインパクトは、Verizonが提供している第4次産業革命プラットフォームのビジネスエリア。
次世代通信における先駆者は、常に莫大なマーケットシェアを獲得してきたが、5G世代はVerizonが持っているアセットでそのポジションを得られると考える。
Go90やYahoo買収で収益が倍になったが、Verizonはメディアやコンテンツの会社になるつもりはなく、それらの配信役としてベストパートナーになるつもり。WSRによると、Fios videoビジネスをHuluなどの3rd partyに売却するうわさがあり、それがコンテンツ販売からの撤退となりうるとしている。
一方でAT&Tは真逆の戦略で、Direc TV、Time Warnerの買収を通して、コンテンツ販売とインターネットサービスを合わせ、美味しい思いをしようとしている。
Verizonは、新技術と多機能設備で超効率的な経営体制を構築している。数年前、投資の大部分はマクロタワーだったが、今日はスモールセルでの高密度化だ。
SingTelとEricssonはシンガポールで最初の5G試験ネットワークを立ち上げた
SingtelとEricssonは、5G CoEプログラムのパートナーシップを発表し、シンガポールの最初の5G試験ネットワークを、18年第四四半期に運用開始を見込んでいる。
Buona Vistaの国営science, business and ITハブである、One-northに5G試験ネットワークをオープンさせる。
Ericssonの3GPP標準の5G技術を用いて、シンガポールのIMDAが許諾したテスト周波数をサポートする。最初はeMBBとuRLLTCの2つのユースケース。
輸送、ヘルスケア、生産等の業界を、5Gをテコにdigital transformationを加速させ、自動化技術を導入する。Singtel CTOとIMDA幹部は、シンガポールのDigital economyの発展に貢献すると宣言している。さらにSingtelとEricssonは共同で3D AR等の5G use caseを28GHzのmmWaveでデモを行った。
このイベントは、先端技術を有するパートナーの協力で行われた。Garuda Robotics, Intel, Rohde&SchwarzとSony。デモは以下のエリアで行われた。AR、mixed reality, connected drone, real-time HD 3D mapping, cloud-based gaming and robotics。
SingtelとEricssonの5G Centre of Excellence programは2017年10月に開始され、シンガポールの5G開発と立ち上げをファシリテートしており、エンジニアのスキルアップ、技術デモ、実網試験、第三期教育機関とのコラボレーションを行っている。
本ブログのモバイルカテゴリーでご紹介している内容は、以下の記事をご参照ください。